秋の中秋節には、 鯉魚門（Lei Yue Mun） の海辺に家族連れが集まり、月餅を食べてろうそくを燃やします。ここは特別なスポットです。ビクトリアハーバー（Victoria Harbour）の天然海岸線の最後の一片の1つで、絵のように美しい岩と静かな家々に囲まれ、香港のスカイラインのすばらしい眺めをかたどっています。

この場所を利用したのは、そうした家族連れだけではありません。鯉魚門（Lei Yue Mun）にある村が、香港で最も古い入植地であるのには理由があります。これらの村は、ハーバーの最も狭い場所に位置し、何世紀にもわたって船員とその家族の安息の地となってきました。最初は海賊の村でしたが、やがて漁師や近くの採石場で働く鉱山労働者の村へと変わりました。現在では、鯉魚門（Lei Yue Mun）はシーフード好きには人気のスポットですが、新鮮な魚やアサリ以上のものを提供しています。

香港の都会の喧騒とは別の世界のように感じられますが、鯉魚門（Lei Yue Mun）はMTRの油塘（Yau Tong）駅から歩いてすぐです。三家村（Sam Ka Tsuen）の台風シェルターに停泊している漁船が見えれば、この場所に到着したことが分かります。そこから歩行者用の遊歩道を進むと、海の生物の生け簀が並んだ屋根付きのアーケードに到着します。

シーフードを食べたくなったら、注文は簡単。レストランを探して、水槽の中をじっくり見てください。ロブスターの気分ですか？カニ？ナミガイ？アサリ？全て水槽の海水の中に、生きた状態でいます。お腹が欲しがっているものを指差すだけで、レストランのスタッフがそれを夕食用につかまえ、厨房に持って行き、伝統的な広東料理を作ってくれます。

鯉魚門（Lei Yue Mun）には何十ものシーフードレストランがあり、激戦区ですが、他のレストランより際立っているのは数店です。 南大門（Gateway Cuisine） は、遮るものがないウォーターフロントの立地にあり、最高の眺めで知られています。 歓楽海鮮（Happy Seafood） レストランは、チーズと一緒に焼いたロブスターと、ニンニクと春雨で蒸したホタテが評判です。龍騰海鮮酒樓（Lung Tang Restaurant）では、潮州料理の冷たいタイワンガザミ（カニ）が絶品です。

鯉魚門（Lei Yue Mun）で必ずこのベーカリーに立ち寄るAlexandre Fontaineさんは、「瑞香園（Shui Heung Yuen）でスイーツ」を夕食後に忘れないようにとアドバイスしています。1957年に菓子職人のLee Kui氏が創業したこの店は、老婆餅（wife cake）やココナッツケーキ、アーモンドケーキなどの中華風のパン菓子で知られています。

ビーチに近づくにつれ、シーフードレストランに代わって、段々と小さな家が見えてきますが、おすすめの理由があります。鯉魚門許願樹（Lei Yue Mun Wishing Tree）は、幸運に恵まれたV字型のバンヤンの木です。運気を高めることを願って、人々は木にリボンを結びます。

イギリスが1841年に香港に到着したとき、海賊行為は彼らの懸念の一つにすぎませんでした。彼らはまた、競合する帝国、特にロシアの侵攻を恐れ、19世紀後半に港の周りに砲台や要塞を構築しました。天后廟（Tin Hau Temple）から登り坂をわずか20分ほど上ったところにあるのが魔鬼山 （Devil's Peak）で、そこには百年前の歌賦炮台（Gough Battery）の跡があります。

簡単な散策です。「山登りはそれほど大変ではないのに、港のすばらしい眺めを見ることができます」とChanさんは話します。すぐ下には鯉魚門（Lei Yue Mun）の狭い道が見えます。そして、何世代にもわたる海賊、漁師、軍事計画者、そして今では週末の観光客がこの海沿いの道を非常に魅力的だと感じている理由が簡単に理解できることでしょう。